35年ぶりの大雪と救助活動

(写真・八代環境パトロール隊が管理している胡桃集落の公衆トイレ)

1月7日から10日にかけて北陸地方の上空5500メートルに氷点下35℃の寒気が流れ込み、強い冬型の気圧配置となりました。このため、富山県内は連日の大雪に見舞われました。県内の高速道路は通行止め、鉄道は運休、道路は除雪が追いつかず、大渋滞。スーパーやコンビニの食品棚が空となる緊急事態となりました。

1メートルの積雪となった氷見市は道路が寸断されるなどして、6地区で75世帯151人が孤立。その中の一つが八代の胡桃集落でした。以下、森杉隊長の報告です。

私が現地に駆けつけると数え切れない杉の木の倒木が県道、市道を塞いでいました。電線が無残にも断ち切られ、木の枝や葉が測溝をふさぎ、水が勢いよく道路を流れている。何とも凄まじい光景でありました。昨年末に隊員の浅井氏と二人で測溝を奇麗に清掃したのに、その面影は全くありませんでした。生木の引き裂かれた林は無残な荒廃林となり、その奥深くから大きなうめき声が聞こえてくるようでした。何とかしてくれ、私を生かすべきして生かしてほしいと。

(写真・電線が垂れ下がった状況)

この時はなんらなす術もありませんでしたが、胡桃集落に暮らす元隊員の土平栄一氏に連絡が取れたときは心から安堵しました。奥様からは連絡の御礼を言われました。

胡桃集落の孤立のニュースがテレビなどで報道された後、氷見市雪害対策本部から私に連絡が入りました。国から防災大臣、各省庁関係者一行が視察に来るとのことで、待避所の除雪を任されました。山下、向、大戸、道下隊員らと地区の自治会館前広場や防災ヘリの離着場など約30台程の駐車場を確保しました。

(写真・視察一行の駐車スペースを確保するために除雪する様子)

今年は例年に増して、地域の方々からの救助要請が次から次へと入ってきます。たとえば、磯辺集落の一人暮らしのお婆さんからは「屋根雪が滑り落ち、玄関を塞いだため、家から出れない」との連絡が入り、すぐにショベルを使い除去しました。

村木集落では、こんなことがありました。この集落には障害を持たれていて、毎日配達弁当を利用している高齢の方がおられます。庭の積雪が1メートル50センチを越えたため、配達する車が雪の中を進むことができなくなりました。その高齢の方はやむなく配達を打ち切り、冷蔵庫にあるもので、しばらくしのいでいました。やがてそれも限界となったため、パトロール隊の隊員である大戸秀雄さんに電話で救助を求めました。

大戸さんから私にタイヤショベルの出動要請があり、現場に向かい井田清洋隊員とも合流。3人で除雪し、約30メートルくらい進み、無事でいることを確認しました。その後、大戸隊員の奥さんが本人からの食べたい物の注文を受け、お届けしてあげた後に、先方の子供さんに連絡し、親の様子を見に訪れるよう諭しました。

隊員の仲間で運営する地域バスも、降雪の多さに3日間運休を余儀なくされました。いつもご利用いただいている会員の皆様方にその旨をお伝えするのに運転手の方には随分とお世話いただきました。

冬はまだまだ続きますが、これほどまで痛めつけられては行き先が思いやられます。人間の忍耐にも限界があり、心配はつきませんが、隊員が心を一つにして苦難を乗り切り、地域村民のために総力を挙げて邁進したいと願っています。

文・森杉國作(八代環境パトロール隊 隊長)

写真・浅井世明(八代環境パトロール隊 事務局長)


★ 八代環境パトロール隊の災害対策は「地域の番人 第5話」で詳しく説明しています。

『地域の番人』公式サイト

富山県氷見市の山間部にある八代地域。 人口500人の集落を存続させるべく、高齢者グループ「八代環境パトロール隊」は日夜奮闘している。 八代の四季。後継者問題。集落存続。

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