小学4年生とのめぐりあい(文・森杉國作)
富山県内の小学校では、4年生(10歳)に対して、チャレンジテンという特別授業が行われています。これは平成16年度から始まり、10歳、10項目、10週間に渡って地球温暖化防止活動を児童が家族とともに自ら体験するという学習であります。
私は地域の児童委員として氷見市の小学校から協力を頼まれました。環境パトロール隊の代表として、環境保全活動を続けていましたので、快くお受けいたしました。
氷見市では14の小学校がありましたが、そのうち9校の指導に関わらせていただきました。児童にどう接すればいいのか、話を理解してもらうにはどうすればいいのか、当初はわかりませんでしたが、先生と相談の上真剣に取り組んできました。
温暖化のみならず、道徳に対してもわかりやすく説明したつもりであります。先生からは「あまり発言しない子どもに対しても指導していただけないか」と相談を受け、児童の親とも深く関わりながら対応させていただきました。やがてその児童が私にも声がけをしてくれるようになり、喜びを感じました。
それ以後も学校との関わりは続いていますが、自然と関わりながら、物を大切にする心、感動する心を持ってほしいと思っています。それを伝えることが私に与えられた使命と覚悟し、児童との会話を大切にしてきました。
昨年は海峰小学校の依頼で、八代の歴史や文化を知っていただくためのふるさと野外学習に協力しました。八代の名勝旧跡を解説した簡単なしおりを事前に作成して児童にお配りしました。その後、みんなで現地を見学し、改めてお話をさせていただきました。
荒山峠の看板前では昔の峠はどうであったか。看板を建立した意味を伝えました。その後、上杉謙信ゆかりの桝形山(513メートル)にものぼり、能登と氷見海岸が一望できるところで、お話をしました。氷見牛生産者の田中賢治さんの牛舎にもお寄りしました。
児童が牛の顔をやさしくなでる仕草は微笑ましく、胸熱く感ずるひとときでした。動物に対しての思いやりの心を知り得てよかったと安堵しました。
後日、児童一人一人から手書きで感謝の言葉が届き、私からも手書きで御礼の返事をいたしました。児童と心通い合う言葉のキャッチボールはいま失われているものの一つではないでしょうか。
その後、教頭先生から「児童が訪ねた場所を思い出の看板にして、地域に建てたい」という嬉しい連絡が入り、喜んでお受け致しました。どんな看板になるのか、待ちわびる日々を過ごしました。
そして3月18日、児童、校長、教頭、担任の先生、関係する業者の人が出席のもと、めでたく看板が八代に建立されました。
このニュースは翌日の地元の新聞に大きく報道されました。市民の皆様方に紹介されたことは海峰小学校の児童とともに喜びを分かち合いたいと思います。令和4年の春、児童たちにすがすがしい思いにさせてもらいました。子ども達には限りなく大きな夢を持って、未来に羽ばたいてほしいと願わずにはいられません。ありがとう。
文:森杉國作(八代環境パトロール隊 隊長)
写真:浅井世明(八代環境パトロール隊 事務局長)
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